海岸和輝は1984年東京都に生まれ、2008年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業したアーティスト。2022年Independent Tokyo 2022 では準グランプリを受賞しました。
tagboat galleryにて個展「I’ve been painting」(2023年11月30日(木) ~ 12月23日(土))開催を予定している作家による、鑑賞者を引き込む魅力にあふれた作品をご紹介します。
海岸和輝 Umigishi Kazuki |
線を描いては消す
小学校のパソコン室で、初めてペイントツールとマウスを使ってひいた線。その感動から始まったデジタルドローイングや、油絵を制作してきた大学時代の経験など、これまで作家が積み重ねてきたことの中にはいつも「線を描いては消す」ことが根本にありました。
絵を描くことの根源的な行為であるこの動作は、画面の外まで広がっていくかのような、爽快な解放感を生み出します。
アクリル・キャンバス, 145.5x 145.5 x3cm, 2020
アクリル・パネル, 145.5x 145.5 x3cm, 2023
重なりあうレイヤー
作家はPhotoshopで描いたデジタルドローイングをもとに、マスキングテープを駆使して幾つものレイヤーをアナログで生み出します。デジタルとアナログの技法を交差させ、その中で生まれる画面のバランスを追求しているのです。
「重なり」をテーマにしたオーバーラップ(Overlap)シリーズは、単に線やレイヤーの積層による重なりという意味だけでなく、これまでの制作やデザイナーとして取り組んできた仕事、幼少期から今に至るまでの時間や経験してきた環境など、そのときどきの自分自身が存在していると作家は考えています。
アクリル・キャンバス, 130x 130 x2.5cm, 2023
アクリル・キャンバス, 130x 130 x2.5cm, 2023
痕跡を辿ると見えてくるもの
作家は東京藝術大学を卒業後、デザイナーとして活躍するうちに長期間制作から距離を置いてしまいましたが、コロナ禍に見舞われ画家としての活動を再開しました。
2020年、アーティストとして活動しはじめて1作目の作品には、今の制作に通じる要素が詰まっています。
作品の変遷を見ることで、これまで辿ってきた道のりが浮かび上がってくるかのようです。
アクリル・キャンバス, 130x 130 x3cm, 2020
SOLD OUT
アクリル・キャンバス, 91x 91 x2.5cm, 2023
SOLD OUT
海岸和輝「I’ve been painting」
2023年11月30日(木) ~ 12月23日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※オープニングレセプション:12月1日(金)17:30-19:00
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
tagboatギャラリーにて現代アーティスト・海岸和輝による個展「I’ve been painting」を開催いたします。東京藝術大学絵画科油画専攻卒業から10年、2020年の新型コロナ流行をきっかけに活動を再開した海岸和輝。デジタルツールとアクリル絵具を用い「線を描いて消す」という根源的な行為を重視して制作しています。
作家は、デジタルでドローイングを重ねたあと、マスキングテープを駆使して幾つものレイヤーをアナログで生み出します。作家初の個展となる今回は、スタイルの根底となる「This is a painting」と重なりをテーマにした「Overlap」の2シリーズから新作を約15点出展致します。
鮮やかな色彩の画面は、レイヤーの積層による重なりという意味を持つだけでなく、作家が積み重ねてきたそれぞれの時間、カルチャー、スタイル、環境がオーバーラップしながら出来上がります。
透明感のある色調が陰影と奥行きを生み、個人の存在を超えた時間の蓄積や流れを感じさせます。
レイヤーを辿ると見えてくる新たな有形無形を是非、ご高覧ください。
海岸和輝 Umigishi Kazuki |
1984年 東京都出身
2008年 東京藝術大学絵画科油画専攻卒業
展示歴/受賞歴
2022年 Independent Tokyo 2022 準グランプリ受賞
2023年 グループ展 「Independent Tokyo 2022 Selection」 tagboat GINZA
デジタルツールでドローイングを行いながら、線を描いて消すという絵画の根本とも言える行為を、アナログ技法と交差させながら研究している。
「重なり」をテーマにした作品群は、レイヤーの積層による重なりという意味だけでなく、30年近く前にペイントツールとマウスで描いたガタガタの線の感動から、抽象画ばかり描いていた大学時代、自分の作品制作をすることができずに商業キャラクターを使ったデザインをしていた会社員時代などの時間、カルチャー、環境がオーバーラップしながら出来上がっている。